小林病院

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新しい創傷治療の考え方

2014/11/25

傷の治し方

当院では、創傷処置の方法に消毒せずに水でよく洗いシートで保湿して治す「湿潤療法(モイスト ウンド ヒーリング)」を取り入れました。
傷の治療では、「傷は乾燥させたほうがいい」「消毒薬でよく殺菌する」・・・といったガーゼで覆って早く乾燥させる方法が常識とされていました。
近年、「消毒と傷の乾燥は治りを妨げる」ことが知られるようになり、「すり傷」や「切り傷」の治療・処置法においても傷は乾燥させるより湿潤環境を保持すると早く綺麗に治ります。

傷を治す従来の常識 
・傷をよく洗う
・傷をよく消毒する
・傷にガーゼを当てる
・傷を自然乾燥させる
・「かさぶた」ができ取れたら治癒

傷を治す新しい考え方
・傷をよく洗う
・傷は消毒しない
・傷にガーゼは当てない
・傷は乾燥させない
・「かさぶた」がつくらない

湿潤療法(閉鎖療法)
・傷口を洗浄し,土や砂などの異物が残らないようにする。
・消毒はしない。
・創傷被覆材(ドレッシング材)を用いて傷口を閉鎖する。
・傷から浸みだしてくる体液(浸出液)が多い場合と少ない場合では,ドレッシング材が異なる。
・傷が治るのを待つ。浸出液があふれそうになったら,ドレッシング材を交換する。


なぜ消毒をしないか?

今までの常識では、傷にはまず消毒・殺菌となっているのですが、消毒薬は殺菌だけでなく、傷を治そうとしている浸出液の中の成分も殺してしまいます。
消毒しないと細菌感染するのではと思われがちですが、消毒薬で消毒しても皮膚表面だけが殺菌され、消毒薬の効果がなくなれば、消毒前の状態に戻ります。細菌がいるだけでは化膿しません。それよりも傷が乾いてしまうと、白血球などの「免疫細胞」は,傷口を守ることができないため、「感染」を起こしやすくなります。また、傷口に土や砂などが残っていると白血球の働きが妨げられるので、消毒をするよりも異物を完全に取りのぞくことがとても重要なのです。細菌は、傷の周りから進入するため、傷の周囲の洗浄がとても必要となります。消毒をせず傷の周囲を弱酸性の石鹸で洗い、水でよく洗い流すことが早く綺麗に治すコツとなります。化膿しているかどうかは、傷の周囲が赤く腫れているかどうかや浸出液の色や臭いで判断します。

なぜガーゼを当ててはいけないか

ガーゼは、通気性がよく傷からの浸出液を吸収し、乾燥させるために考案された素材です。傷からの浸出液には、傷を治す化学物質が含まれていて、それが自然治癒力となっています。
ガーゼで覆うとその成分まで乾燥させて「かさぶた」を形成し、傷の治癒の邪魔をします。かさぶたは、ガーゼに付着して治りかけの皮膚も一緒に剥がすこともあり、出血や痛みを伴い傷の治りを悪くします。
また、傷が乾いてかさぶたが出来ると、ひきつれて傷が「ずきずき」と痛むことがあります。

ドレッシング材とは何か?

ドレッシング剤とは、傷を湿潤環境に保つことで治りを早め、外部からの感染を防ぎ、痛みを和らげるなど優れた効果を発揮するシートです。
その効果は,ガーゼで治すよりも2倍近く傷の治りは早いと言われています。
しかし、ドレッシング剤にも種類があり、使用法を間違えると、感染が広がったり,傷が悪化したりすることがあります。傷の周囲に感染兆候がある場合には使用できません。
また、ドレッシング材は4~5日間貼ったままで傷を治すシートなので、浸出液が多く剥がれてきた場合やシート自体に痒みがある場合以外は交換する必要がありません。

【新しい創傷治療について】は http://www.wound-treatment.jp/ をご覧下さい。

お問い合わせ
03-3930-7077(新しい創傷治療について)